not all who wander are lost

ネガは楽譜、プリントは演奏

太陽が出る前の霧の景色の色って何色?
人間の目は色を相対的に捉えるし
脳は勝手に印象補正をするから、
この単純な質問に答えるのはなかなか難しい。

まずはカメラが決めたホワイトバランス。
f0254240_18333331.jpg

これは「デーライト」。
f0254240_1833598.jpg

これは「蛍光灯」。
f0254240_18341932.jpg

人間の記憶はかなり曖昧だけど
写真をやる人は比較的鮮明に景色の色を覚えていると思う。
ただ日の出前後の濃霧って刻一刻と光の色が変わるし
世界が霧に包まれているので「基準色」になるものが無い。
だから、記憶と肌で感じた感触、
それらを頼りに写真で「見た景色」を再現、または表現する事になる。

上の作例は全て同じRAWファイルからのものだけど、
ホワイトバランスの調整でここまで違う。

見た目に忠実なのは多分カメラが決めた色だと思う。

デーライトにすると日の出前で世の中が青っぽかったのが分かる。

蛍光灯の色は、朝を表現する為に写真家が多く使うホワイトバランスだ。
これは綺麗だけど実際にこう言う色ではなかった(はず)。

個人的には密度の高いひんやりとした空気や
物音ひとつしない湖畔、日の出前の薄暗い世界、
それらを「表現」するなら真ん中のデーライトの色かな。

でもそれは「再現」や「記録」とは違うもので、「表現」だね。
写真はやっぱり何かを伝えようとする「表現」が全て。

アンセル・アダムスが
「ネガは楽譜、プリントは演奏」とか言ってたらしいけど
まさにその通りでございます。
音楽は指揮者や演奏家の、その音楽に対する理解や
表現の方法によって演奏がかなり違ってくるし
人によって感動したり、共感したり、違和感を覚えたり。
ネガはそこにあった光を的確に記録しているけど
人間が受けた印象と同じかと言うと、それは十人十色。

さすがはアダムス先生、言葉での「表現」も素晴らしい。
by blogpost | 2013-02-26 19:11 | 自然・景色